【数検1級】「高校数学の公式は、実は途中までしか教えてくれていなかった」#17

数学検定1級
ノート13冊目です

前回受験した数検1級二次試験を復習していたところ、

模範解答に「包除原理」という聞き慣れない言葉が出てきました。

何だろうと思って調べてみると、

高校数学で習った「和集合を求める公式」を一般化したものだと知りました。


集合の公式:高校では「3つまで」だった

高校数学では

2つの集合ならこの公式

|AB|=|A|+|B||AB||A \cup B| = |A| + |B| – |A \cap B|

3つの集合ならこの公式

|ABC|=|A|+|B|+|C||AB||AC||BC|+|ABC||A \cup B \cup C| = |A| + |B| + |C| – |A \cap B| – |A \cap C| – |B \cap C| + |A \cap B \cap C|

と学びました。

当時の私は、

「4つ以上になると複雑だから、公式は3つで限界なんだろうな」

くらいにしか思っていませんでした。

当然、一般化できるかどうかなんて考えようともしませんでした。

受験生時代は本番での得点につながるか否か

最大の関心事だったので当然と言えば当然ですね。


一般化されていたことに震えた

ところが実際には、

何個の集合でも成り立つ次の一般公式が存在していたのです。

【包除原理

|i=1nAi|=i=1n|Ai|1i<jn|AiAj|+1i<j<kn|AiAjAk|+(1)n+1|i=1nAi|\left|\bigcup_{i=1}^{n} A_i\right| = \sum_{i=1}^{n}|A_i| – \sum_{1\le i<j\le n}|A_i\cap A_j| + \sum_{1\le i<j<k\le n}|A_i\cap A_j\cap A_k| -\cdots +(-1)^{n+1} \left|\bigcap_{i=1}^{n}A_i\right|

n=2が2集合、n=3が3集合の時です。

この事実を知ったとき、

私は少し鳥肌が立ちました

高校で習った公式が、

実はもっと大きな理論の入り口に過ぎないことに

衝撃を受けたのです。


他に一般化できそうなことは…

調べてみると

似た例が他にもありました。

例えば、べき乗の和。

高校では

1乗和

k=1nk=n(n+1)2\sum_{k=1}^{n} k = \frac{n(n+1)}{2}

2乗和

k=1nk2=n(n+1)(2n+1)6\sum_{k=1}^{n} k^2 = \frac{n(n+1)(2n+1)}{6}

3乗和

k=1nk3=(n(n+1)2)2\sum_{k=1}^{n} k^3 = \left(\frac{n(n+1)}{2}\right)^2

くらいまでを教科書で学びます。

4乗和

k=1nk4=n(n+1)(2n+1)(3n2+3n1)30\sum_{k=1}^{n} k^4 = \frac{n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n-1)}{30}

も問題集で出てきたりします。

5乗和以降は、複雑すぎて一般化はできないだろうなくらいに思っていました。

しかし調べてみると、

やはり任意のべき乗和を扱う理論が存在していました。

現状ではその理論を理解できていませんが

「高校数学で個別に見えていたものが、本当は一つにつながっている」

そんな例は思っていた以上に多そうです。


数学者は何をしているのか?

「数学とは一般化や抽象化をする学問だ」

という話を聞いたことがあります。

今回、包除原理を知ったことで、

その意味が少し分かった気がしました。

高校数学までは、

問題を解くための技術を学ぶ場面が多かったように思います。

一方、大学数学では、

個々の現象の奥にある共通した構造を探し、

一本の理論としてまとめていく。

そういう営みが数学の本質なのではないかと感じました。

そう考えると、受験数学で味わう数学の面白さと、

数学という学問の面白さは、結構違う部分があるなと思いました。

世の中の大半の人が受験以外で数学を学ばないし、

進んで学ぼうとは思わないでしょうが、

受験数学しか知らずに、数学を面白くないと思うのは、

数学の一面しか見ておらず

食わずぎらいになっている可能性もあるのではなかろうかと思いました。

東北大学理学部 数学科」の方が、

下記の動画で大学の数学科や高校数学と大学数学の違い

についてわかりやすく解説しておられます。


数学は受験だけじゃない

私は東大数学のような難しい受験数学に魅力を感じています。

東大受験というのはそもそもロマンであるというのが持論です。

東大数学を始め難関大の数学の問題は解けないことが多いですが、

難問を解き切ればその時の達成感は大きいです。

また、問題を解いている(解こうとチャレンジている)だけで

「あの●●大の問題を解いているんだ」という自己陶酔的な

感覚によく浸っていました。

しかし、

今回感じたような

「別々だと思っていたものが一つにつながる」

という感動は、

受験数学ではなかなか味わうことがなかったように思います。

数検1級の勉強を始めて、

初めてその面白さに触れられた気がしました。


シュンティの結論

数学の醍醐味は一般化にある

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