これまでの記事で、



・ネタの見つけ方
・見つけたネタを採用文に変えるコツ
について解説してきました。
今回は、実際に掲載された私の投書文を使って、
その中身を分解していきます。
実際に投稿した文章

投稿日:2016年8月15日
投稿先:中日新聞「発言」欄
掲載日:2016年8月24日
総務省消防庁によると、8月1日~7日の間に熱中症で救急搬送された人の数は6588人にも上り、この夏の酷暑ぶりを表しています。
さて、この暑さの中、適度に冷房を使うことは、大切なことでしょう。
ただ、多くの室内施設で、冷房が効きすぎているように思います。
本来、人間の体は、暑いと感じると、発汗することで体温を下げようとします。
逆に寒いと感じれば、今度は、血管を収縮させて体の熱を逃がさないようにします。
通勤電車に乗る、昼下がりに定食屋に入る、スーパーへ買い物に行くなど、日常生活の中で、私たちは冷房の効いていない外と、冷房の効いている内を何度も行ったり来たりします。
内外の温度差が大きければ、体の調節機能である自律神経が乱れやすくなるのは当然です。
そして、自律神経の乱れは体だけでなく、心の不調にもつながります。
私は外出の際、夏でも上着をもって出るようにしています。
過度な冷房への対策です。
もう少し、やさしい冷房を各施設では心がけてほしいものです。
※ここから編集された文章が掲載されました。
掲載された実際の文章を読みたい場合は、
中日新聞2016年8月24日朝刊「発言」欄をご覧ください。
全体の構造
この文章は、大きく分けて
⑴客観的な事実
⑵主張
⑶主張を支える内容
⑷再度念押しの主張
の4つで構成されています。
⑴客観的な事実
「総務省消防庁によると、8月1日~7日の間に熱中症で救急搬送された人の数は6588人」
の部分です。
「総務省消防庁」というデータの出典も付け加えておくことで、
内容の信頼性をアップさせるとともに、
編集者の方が、事実誤認がないかチェックできるように配慮しています。
⑵主張
文章全体の顔です。
いきなり主張するのではなく、
「適度に冷房を使うことは、大切なことでしょう」
という譲歩の文を入れたのがポイントです。
これには、
➀前段落の客観的内容と自然につなげる
②主張を強化する(譲歩=フリ)
という効果があります。
⑶主張を支える内容
なぜそのような主張をするのか、理由や具体例に言及します。
主張が単なる個人的な感情の吐露ではなく、
多くの人が納得できる内容にするためのパートで、
“文章全体の核”
と言える部分です。
「通勤電車に乗る、昼下がりに定食屋に入る、スーパーへ買い物に行く」
ここでは、具体例を挙げるときのあるテクニックを使っています。
通勤電車
→「通勤」という表現だが、実際は電車に乗る人ならだれでも該当
定食屋に入る
→「昼下がり」「定食屋」という表現だが、実際は外食する人ならだれでも該当
スーパーへ買い物に行く
→「スーパー」という表現だが、買い物に行く人ならだれでも該当
このように、特定の具体例を挙げながらも実は
もっと広い人に関係あることを類推できるようにしています。
だったら、最初から
「電車に乗る、外食に行く、買いものに行く」
というように、より多くの人々が該当するような
表現にしておけばよいではないかと思う方もいるかもしれません。
しかし、これだと
漠然としすぎていて、リアリティがありません。
具体例は、イメージしやすいかつ、
他の具体例も連想させうるものを選ぶのが良いのです。
⑷再度念押しの主張
「もう少し、やさしい冷房を各施設では心がけてほしい」
もう一度主張を述べて、この文章で言いたかったことを
多くの(忘れているであろう)読者に思い出してもらいます。
⑵で述べた主張と言っていることは同じですが、
表現を変えることで、
読者に飽きさせないことを意識しています。
なぜこの文章が採用されたか
この文章が採用された理由は、
・個人的な体験を入れている→オリジナリティ
・多くの人に関係するテーマ→客観的事実
・論理的に多くの人が納得できる提案→個人的感情論に終わらせない
この3点にあると言えるでしょう。
シュンティの結論
採用される文章は採用される設計をしている



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